平成15年5月26日放映 長野放送 "NBSスペシャル"


   
今となっては最高の仕事
〜別所温泉常楽寺本堂復元改修工事にみる
茅葺職人と伝統建築〜 

長野県内の茅葺き屋根に暮らす人々で「マル七」を紹介
-----------------------------------------------------------------------------

 上田市別所温泉にある古刹、常楽寺では、このほど本堂の復元改修工事が終わり、本堂は
再建された当時の姿に戻った。5月26日の「NBS月曜スペシャル」は、『今となっては最高の
仕事』と題して、別所温泉常楽寺本堂復元改修工事にみる茅葺職人とその技、そして伝統建
築について紹介する。
    

 石造多宝塔があることで有名な常楽寺の本堂は、江戸時代中期に再建されたと伝えられて
いる。これまで、本堂の建築年代や大工名を直接記した棟札は見つかっていなかったが、去
年(2002)2月から始まった改修工事では、再建された年代を推定できる大きな発見があっ
た。
 常楽寺本堂は茅屋根で、改修工事では大がかりに屋根の葺き替えが行なわれた。葺き替え
にあたったのは、信濃町に住む職人、風間多喜男さん。この道50年のベテランだが、常楽寺
のような大きな屋根の葺き替えはめったにないと言う。材料は茅だが、使う道具は鉄製の針・
槌そして鋏の3種類。いたってシンプルだがその技は奥が深い。
 また、失われていく伝統建築や技を守ろうと活動する信州伝統的建造物保存技術研究会
(信伝研)では、茅を安定的に確保することを目指している。
 番組では、茅屋根の葺き替えを中心に常楽寺本堂の改修工事の様子と、長野県内の茅場
や茅屋根の家に暮らす人の姿、さらには世界遺産に登録された岐阜県白川郷の合掌造りを
紹介し、伝統建築について伝える。 

NBS日曜スペシャル
今となっては最高の仕事
〜別所温泉常楽寺本堂復元改修工事にみる
茅葺職人と伝統建築〜 
NA「人の生活、文化に密着し影響する、その時特有の自
然環境。緑豊かで自然に恵まれた風景は、私達に郷愁と
やすらぎを与えてくれます。
今も茅葺き住宅に住んでいる人はどんな暮らしをしているのでしょうか。
白馬村に住む伊藤馨さんの家は、今から83年前、
大正9年に建てられた茅葺き屋根の大きな家です。
窓はサッシを使わず、建築当時の姿を残しています。」
私「冬暖かくて、夏涼しいというのが本来ですが、うちはご覧のように見渡す限りサッシの戸を全く使っていないのでね。年中全館冷房で、冬は寒くて大変なんです。夏はまあその点、涼しくていいんですけどね。」
NA「伊藤さんは昔ながらの囲炉裏を使った生活を、今でも続けています。家の中を見ると、柱や天井が黒く煤けています。
これは茅葺き屋根を長持ちさせるためにも必要な事だと言います。茅にカビや虫が住まないように、火を焚いて燻してやる必要があり、この囲炉裏から立ち昇る煙が家を長持ちさせるのです。
しかし、茅葺き屋根の建物は、生活様式や社会の変化により、急速にその姿を消しつつあります。白馬村の中でも茅葺き屋根の家は20軒ほど。このため、伊藤さんの悩みは屋根の葺き替えだと言います。」
私「修理するには、千束単位でやらなければならない。以前は近所隣、ほとんど全戸が茅葺き屋根だったので、とこの家からでも茅を借りる事ができましたが、今ではもうだんだん茅が無くなってしまっている状態で、村中から買い集めて、修理をしているんです。
茅葺き屋根とこの囲炉裏は、まあ後はどうなろうと私一代は続けていきたいと思います。」
NA「田舎の魅力は茅葺きの屋根。伊藤さんの信念です。」

 5月26日(月)放送 【#318】  

-----------------------------------------------------------------------------

トップへ
トップへ
戻る
戻る