平成9年9月2日発行 弘済出版社"旅の手帖10月号"P15

「ただいま〜」と入りたくなる宿

 「ウチは白馬で最低のやどなんですよ」との言葉に誘われて行ってみると、これがなんと辺り
を払う風格にあふれた民家。大正9年に建てられたという、近所では"最新"の茅葺き屋根であ
る。迎えてくださったご主人の伊藤馨さんがまた、どっしりとした屋根に負けない雰囲気の持ち
主。温かく、さりげなく待っていてくれたような感覚に、つい「ただいま」と言いたくなってしまう。
そのせいか常連客が多いが、そういう宿にありがちないやみは皆無。初めてでも不思議なほ
ど自然に溶け込めてしまう。
 食事は一年中火の絶えない囲炉裏端で。お膳に並ぶものは、米も野菜も伊藤さんの畑でで
きたものがほとんど。秋のはじめまでは朝穫りのキュウリやトマト、冬には自家製の野沢菜が
おいしい。地元の話を聞きながらだと、食が進む。


一年中火の絶えない囲炉裏で、宿泊客みんなが団欒


畑で育った作物が、食卓にのぼる


かつては養蚕農家だった茅葺き屋根のたたずまい


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