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「マル七」の屋号で知られるここ白馬の伊藤家は、代々"七右衛門"の名を世襲してきた由緒
ある家柄。現在の当主である八代目七右衛門こと伊藤馨さんは大正15年生まれだが、この家 屋そのものは大正9年に新築されたものである。 1階が約80坪、2階が約56坪。とにかく堂々たる造りである。昭和38年、民宿を始めるの をきっかけに一部増改築したとはいえ、そのほとんどが当時のまま。むしろ年を重ねる事によ って、木造建築ならではの重厚さがかもしだされている。しかもこの材木、すべて伊藤家の持 ち山から調達されたものだというから驚きだ。 磨き込まれた木肌の感触のなつかしさ、囲炉裏を囲んで憩う茶の間の団らんの温かさ、一度 「マル七」を訪れた人たちはきまって二度三度と再訪するというのも、なるほどとうなずける。馨 さんをはじめとする伊藤家の皆さんの、文字通り家族的なもてなしも数々のエピソードを生み 出してきたようだ。 「民宿を始めて23年。私どもに来泊したお客さんは8000人は下らないと思います。夜中に 騒いだりしていると、飛び起きていって怒鳴りつけたり(笑)、いろいろなことがありました。でも、 その怒鳴りつけられた人がまた翌年も来てくださるんですよね。」と馨さん。 信州の豊かな自然と心安まる日本家屋のぬくもり、それに親身な接待となればもういうことな し。「マル七」のファンはますます増えそうだ。
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